2024年6月29日から「蔦屋家電+」(二子玉川)で展示販売開始します

ミーア開発のきっかけ

皆さん、こんにちは。
ミーア開発者の吉永です。

今回は、ミーアを 開発しようと思ったきっかけに関して記載したいと思います。

訪問診療医で感じたコミュニケーションの重要性

私は医師として、ご高齢者の自宅にお邪魔して診察を行う訪問診療医をしていました。 訪問診療をして驚いた事は、 想像以上に独居の方々が多いということでした(配偶者に先立たれてしまった・ 息子や娘とは離れ離れで暮らしているなど)。もしかしたら担当していた地域柄の特性もあったかもしれませんが。

また、 ヘルパーや訪問看護師の方々は、医師より多くの頻度でご高齢の方々と接しますが、 医師の場合は2週間に1回というあまり多くない頻度であるにも関わらず、 医療行為というよりも、話し相手としてのコミュニケーションをご高齢者の方々が求めていることにもビックリしました。診察が終わって、次の個宅に向かう必要がある場合でも(1日に何件 回らないといけないというのが決まっている ので、 診察を終えたら次に移動しなければしなければならない)、「 もう少しだけお話ししたい」 とおっしゃられるご高齢の方々が非常に多かったです。

そして、診察の時には、よく「 妻(夫) が先に天国に行ってしまったし、1人で足腰も悪いのでずっと家にいるしかなくて、寂しい。話し相手が欲しい。」 という訴えを多く聞きました。そして、それに対して「 そうですよね。」 と声をかけることぐらいしかできない自分に対して、非常にやるせなさを感じていました。

一方で、 独居の方々でもペットを飼っている方々は、いつもそのペットの話を楽しそうにしていました。 ある高齢者の方でオウムを飼っていた方がいらしたのですが、「お邪魔します」と玄関に上がるたびに、オウムが私や訪問看護師の方の言葉をいつの間にか覚えたのか「 お邪魔します。 お邪魔します。」 とオウム返しに話すようになり、 また診察が終わって退室する際にも「 ありがとうございました。 ありがとうございました。」 とオウム返しで話す様子に、 私も、ご高齢者の方も思わず笑顔になることがありました。

こうした訪問診療医の経験を経て、 人生におけるコミュニケーションの重要性をひしひしと感じ、 必ずしも完璧に意思疎通ができる双方向のコミニケーションでなくても、 というよりは、むしろ「 日常の生活でクスッと笑えるような、 楽しい・ 面白いフレーズを一言 誰かから声かけてもらえる」 だけで、 その人のその日1日がとても幸せになるのではないか?と考えるようになりました。

自分の出身地の方言を聞きたい

またある時、 とあるきっかけで、2022年3月頃に、大阪に住んでいらっしゃる、小学校の同級生のお母さんの自宅にお邪魔する機会がありました。

その方は、おしゃべり時計を10年以上使っていて、 かつ、それが関西弁限定のものでした。 そのおしゃべり時計は双方向のコミュニケーションではなく、 少し皮肉めいたツッコミどころのある関西弁を一言定期的に話してくれるというシンプルなものでしたが、 その方は「 日中1人なので、ネットフリックスを見るくらいしかすることがなく、 このおしゃべり時計が面白いフレーズを言ってくれるのが毎日の楽しみ」と言っていたことが非常に印象的でした。

そして、 「関西弁が良いんだよね。 私、関西人なので。 同じ関西人とお茶したときにこのおしゃべり時計の話になって、 自分も関西弁の限定版が欲しいと言っている友達が多かったの。 でも既に絶品になっているのでないんだけどね」 とおっしゃっていました。

かくいう自分は鹿児島出身で、親と会話する時や帰省した時くらいしか鹿児島弁は出ないのですが、「確かに、鹿児島弁で話すときは懐かしい気持ちになることがあるなぁ」とそのお母さんの話を聞いて感じました。

もしかしたら今の技術なら「アプリとロボットを連携してアプリで様々な方言を切り替えるように作ることができるかもしれない」 と思うようになり、 今回リリースした様々な面白い方言を話す猫型ロボット「ミーア」の着想に至りました。

そしていざ、開発を始めようとなるのですが、 はじめての本格的なハードウェアの開発でかなり苦戦することになりました。